EQという言葉は聞かれたことはございますか。
似た言葉でIQがあります。IQの『I』はご存じの通り『インテリジェンス』の頭文字から来ており、『知能指数』を示す言葉です。それではEQは『E』は何を示しているのでしょうか。『E』は『エモーショナルインテリジェンス』、つまりEQとは『心の知能指数』を示す言葉です。
我々は仕事でも私生活でも、リーダーシップを発揮しないといけない場面に数々遭遇します。そんな時、果たして我々は本当にリーダーとして『適切な行動』がとれているのでしょうか。頭では分かっているんです。本で読んだり、誰かから聞いたりして理解はしているんです。感情に流されて話を進めることがどんな影響を及ぼすかを。勿論、気付いてすらいないよりは断然良いです。問題は、果たしてその理解を態度や行動に移せているのか、というところではないでしょうか。
では、適切な行動とは一体どんなものなのでしょうか。
さて、リーダーとしての適切な行動に目を向ける前に、ある話をさせて下さい。私の友人の一人に、『悪い意味で』自分の感情にとても正直な人物がいます。とある外資系企業でリーダー職に就いている彼は、普段は非常に気さくな人柄なのですが、ディスカッションでひとたび火が付けば、すぐにそれが口論に切り替わってしまう、そんな人物です。月末や四半期末になり上からのプレッシャーが強くなると、彼の感情の波は非常に激しくなります。社内でセールスを見つけた日には『目標達成したのか?売れてないなら会社で何してんだ!外に行け!』と叫ぶ彼の姿は、もはや自他ともに認める恒例事業になっていたようです。はたしてこの『はっぱをかける』方法は、一番効果的にチーム全員の目標達成にやくだつ方法だったのでしょうか。
信頼という面で、チームからはどう見えているのでしょうか。
我々がリーダーとして日々発している言葉や行動は、『誰のために』発せられているものなのでしょうか。勿論、どんな伝え方をしようが、終わりだけ見れば我々の為だろ?ということに変わりはないかもしれません。結果を出すのが我々の仕事で、責任であるわけですから。結果さえよければ、という考えは、間違いではないです。では長期的結果に目を向けた時、チームに『上から求められる結果を達成することしか頭にない上司』と思われていたとしたら、チームとの人間関係、チームのモチベ―ション、そしてエンゲージメント・レベルにどんな影響が出るのでしょうか。
とはいえ我々はただの人間です!悟りを開いているわけでもなければ、常に無の状態でプレッシャーやストレスに対応する、なんてことをしろなんて言うつもりは到底ございません。
ではどのようにすれば、より効率的な自己管理ができるのでしょうか。
効率的な自己管理方法とはどのようなものなのでしょうか。
我々はみな、自分の感情が逆なでされている、というサインを感じることが出来ると思います。脈が強くなったり、こめかみがぴくついたり、歯をかみしめたり、そのサインは人によって異なりますが、もし、ご自身のサインを把握していれば、感情が爆発する前になんらかの対応策がとることが出来ます。
この対応は、電気のブレーカーのようなものです。
ブレーカーは電力の過剰消費による電気火災の発生を防ぐために存在しています。私たちの感情は、まさに電力のようなものです。火災につながる前に、心のブレーカーを設置しましょう。その為にまず、ご自身にとって何が怒りや不満を引き起こす引き金となる『ホット・ボタン』と呼ばれるものなのかを明確にしてください。心のブレーカーは、落ち着きを取り戻すルーティンです。例えば、短銃なキーワードをあらかじめ決めておいて、必要な時に自分自身に言い聞かせるといったものでも構いません。プライベートなら気晴らしにウォーキングに行く、というのもひとつの手ですが、仕事場でそれができないようならお手洗いなどに離席し、だれもいない場所で鏡に向かって『私は今腹を立てているから、この場を離れよう』と行動を口頭化することも有効な手です。
問題やストレスに上手に対処する姿を見ることで、チームメンバーからの信頼や安心も厚いものになります。
冷静さを取り戻したら、問題が起きた経緯に目を向けてみましょう。例えば、部下からのとある意見がご自身のホット・ボタンを押したとしたら、その部下がその意見にたどり着いた経緯に目を向けてみることです。もしかすると、単純に認識の相違が理由かもしれません。敬意を聴いているうちに、確かにその経験や理由があればその意見にたどり着くのも納得できる、と思うかもしれません。
いずれにせよ、感情を爆発させていたら聞くことすら出来なかったことが判明するでしょう。相手との人間関係も崩さず、更には陰口や苦情の材料を与えることを避けることが出来るのです。
優れたリーダーになるには、自己認識と自己管理が必要です。地位を振りかざしたり、権力を行使することは駄々をこねる子供にでも出来ます。このビジネスプロTVを見ていただくほどに情熱的な心とプロフェッショナリズムを持たれる方には、そんな姿は似合いません。チームが信頼と安心を感じ、喜んでついて行きた、そう思わせる高いEQを持つリーダーの姿こそ、ふさわしいのです。感情の波に嵐が来たとき、誰が真のリーダーかが分かるのです。