セールスの皆様、お客様との「対話」を心から楽しんでいらっしゃいますか?日々、最短距離で目標達成を求められるセールス。そのために、トークを磨きたい、説得力を上げたい。と思う方も多いと思います。今日はお客様との対話について考えてみたいと思います。まずは、皆さまはどんなセールスになりたいですか?または、どんなセールスの方から買いたいですか?ということを考えてみていただきたいと思います。
セールスがお客様の価値観を引き出し、そのお客様がそれまで考えていなかったような新しい世界へ導くことによって、その商談はお客様にとって単なる物を買う行為ではなくなり、自己実現や自己表現の達成という感動を得る事になり得るのです。お客様が持っている問題の本質がこのとき明らかになるという場合もあるでしょう。お客様にとって、それまで隠れていた問題点を明らかにする会話を進めていくことができるセールスは、並み外れて優れた対話力を持った人であるといえます。
対話の内容は、セールスの私達がお客様の今の立ち位置よりも少し上を見て、導いて差し上げると良いと思います。こうした対話をすることでお客様に、進むべき道を示し彼らが本来到達すべき、より良い場所を分かってもらうことが可能になります。その、より良い場所について理解してもらうために、セールス担当者が真心でお客様と対話をしながら、お客様への質問を行うことで、お客様の「成功」や「あるべき姿を実現した時のその幸せな気持ち」はどのようなものかを明らかにしていくことができるのです。加えて、以前成功したソリューションの事例を提示できると、さらにその会話に説得力を持たせることができるようになります。このお客様にとっての理想の立ち位置を鮮やかに示していくことができる方かそうでないかが、一般的なセールスの方との違いを生むのです。
この「対話」で大切な事は、何でしょうか。質問をして傾聴する。つまり、「聴く」という漢字の文字通り、耳と十の目と心で聴く事をお勧めします。一般的に、セールスパーソンは雄弁で、自分の話していることに陶酔してしまう傾向があると言います。お客様が話している途中で意見を述べたりしていないか、気が散る程の相づちを打っていないかもチェックしましょう。お客様の良い聴き手になる事で、「自分は何も話していないのに話し上手ともいわれてしまうことがある。」とデール・カーネギーも言います。「話を聴きさえすれば良いなら、それなら簡単!」という声が聞こえてきそうです。私もそう思いました。我々のクライアントの皆様も同じようにおっしゃいます。そして現場で実践してみた結果をこう報告してくださいます。「質問するのが難しい!自分が普段どんなにたくさん話していたか思い知りました。」
お客様とお話をする際に私達に割り当てられる、私達が話す事のできる時間の配分は極々限られています。それなので、売り込むトークは必要ありません!反対に短い言葉で質問をし、お客様も気づいていないようなお客様の真の関心を導き出すようにするのが秘訣です。これは簡単に聞こえますが、実際に実践し習慣になるまで、意識して訓練することが必要になります。
お客様がためらったり、内容確認のために中断したり、反対意見を示したりするような場合もあるかもしれません。そのような場合、セールスの方は、データ、事実関係、統計資料等を嵐のように降り注いでお客様を説得しようとする傾向にあるようです。果たして、この方法は、効果があるでしょうか。古い格言に「自らの意思に反して説得された人は、その考えは依然元のままである」という言葉があります。また、デール・カーネギーも「人から押し付けられた意見よりも、自分で思いついた意見のほうを我々は、はるかに大切にするものである。」と言っています。私達はそれらの言葉を深く胸に刻むべきだと思います。私たちの真の目的はお客様に勝つことではなく、お客様に成功や幸せを提供することだからなのです。
また、話をしている相手のタイプに合わせることも必要です。お客様の熱意のレベル、ペース、どの程度の詳細情報を求めているのか等々。こういったことすべてをうまく混ぜ合わせてお話の内容を組み立てます。もし、とても詳細にこだわるお客様であれば、我々はそれに対応できるように準備をしてお客様を安心させます。まずは行動ありきのお客様であれば、我々もお客様と同じように対応すると良いでしょう。人は自分が好むタイプの人とビジネスをしたいと思います。私たちは波長が一致する人を潜在的に好むものなのです。 セールスとして私達は、核となる信念をもちつつも、多種多様なタイプのお客様のそれぞれの波長にあわせ、しなやかにチューニングすることができたら本当にプロフェッショナルだと思います。
対話をすることによってお客様の必要な状況を導き出すことができる、コンサルティング営業が実現するのです。それは、お客様のための優れたソリューション・パッケージを作る能力につながります。つまり、この対話力こそがお互いのWin-Winを導くセールスの鍵となるのです。
私は、私達のセールストレーニング中の受講者の方々の言葉をいつも大切に思い出します。その方々は大変経験豊富なセールスの方々でした。
「お客様の幸せを考えて良い聴き手になることで、私たちは売れてもハッピー!売れなくてもハッピー!そして、実は、そういうハッピーな気持ちでセールスをすると確実に売れるようになると実感しました!」続けて同じ会社の支社長もおっしゃいました。「振り返ってみると、お客様が一早く購入の決断をされた時は意外にも自分のトークがうまくいったときよりも、お客様の良い聴き手になった時でした!」
私達、セールスのお仕事は、デール・カーネギーの書籍「人を動かす」の英語の原題のように「友を得て、影響を与える」仕事だと思っています。そう、セールスはお客様と心のこもった「対話」をすることで、お客様に成功と幸せを提供する素晴らしいお仕事なのです!