チームメンバーが当事者意識を感じる責任の持たせ方、その方法の第一ステップは、我々自身の自己管理をしっかりとすることです。
考えてもみてください。時間やタスク整理においてしっかり管理の出来ていないマネージャーが責任感を持て!といったところで、だれが耳を貸すでしょうか。
様々な管理に追われるリーダーが、自身の時間管理に失敗する理由の一つに、『優先順位付け』の失敗が考えられます。
毎日馬車馬のように働き続けても一向にタスクが片付いて行かないのは、タスク整理と効果的な権限委譲が上手く機能していないためです。一度委譲したはずの仕事が手元に戻ってきたり、委譲したタスクも放置した結果提出された内容が無茶苦茶、結局自分でやり直さなければならなくなった。結局『自分でやった方がまだ早い』ので仕方なくやっている、というご相談は、意外と多くいただきます。ストレス面でも不満がたまり、ノイローゼに近いです、とぼやく方もいらっしゃいました。
では、機能する権限移譲とはどのような段どりを踏めばよいのでしょうか。
権限委譲を正しい方法で行えば、適材適所におけるタスク配分、強いては自分にしか対応できない仕事に時間を使うことができるようになります。リーダーが大きな比重を持って対応すべき仕事の1つがチームメンバーへのコーチングです。コーチングは普段からしている、というお声も実はよく聞きますが、多くのケースがコーチングとメンタリング、つまり『こうすべきだ』という指示をコーチングと混同してしまっている場合が殆どです。
つまりチームメンバーが当事者意識や責任をかんじてもらうことと、コーチングに時間と労力を投じることは、実は密接に関係しているのです。
権限委譲とは、チームメンバーに仕事を押しつけることではありません。相手の現状を確認しつつ、なぜこの仕事を任せようと思っているのか、どんな内容で、どのようにやるのかについて説明するには時間がかかるものです。
それでも、この時間は初期投資なのだと認識をして、更に、委譲相手にとって当事者意識を持って行動をしてもらうことが『本人にとって』プラスになるように段取りをたてなければなりません。そのキーは『本人にとって』が相手の価値観に則っていることです。
これにより、仕事に対する当事者意識が強まり、結果として責任感が強まるのです。
もうお分かりですね。チームに責任感を生み出すには、リーダーであるご自身の管理から始めましょう。チームとのコミュニケーションを向上させる時間を確保し、しっかりとチームメンバーの価値観を把握することで、機能する権限移譲とタスク管理が出来るようになります。これによりチームメンバーはあなたにより深い信頼を置くようになり、更に効率よくチームメンバーが責任と当事者意識を感じされ、能動的に動く組織が出来上がっていきます。チームに実行を求めるのなら、自ら実行しなければなりません。初期投資を恐れず、新しい習慣を身に付け、今より更に優れたリーダーになりましょう。