最近、クライアントの皆様とお話しをしていると、社員向けにストレスマネジメント研修を検討しています。というお声が多いです。
実際のトレーニング中でも、ストレスのセッションは、非常に盛り上がり、あっという間に感じるセッションになります。
中にはストレスをほぼ感じないという方もいらっしゃいます。そのような方は「ストレスがないわけではないけれど、うまく対処するというか、うまく交しているようです。」と自己分析をされていました。「何があってもすべて想定内」というように思うそうです。一見すると、その方はストレスマネジメントのトレーニングは必要がないように思います。その方の素晴らしい点は「自分と働くメンバーが少しでも心が軽くなるにはどうしてあげられるか。」という事を学ぶために参加してくださったそうです。そして、様々なストレスに対するディスカッションを通じて、我々に深い気づきと学びを提供してくださりました。
先日、デール・カーネギー・コースの修了者のSさんと、「ストレス耐性の高いリーダーとして必要な事はなんでしょうか。」というお話しをしました。Sさんは「自分も大丈夫だから皆も大丈夫なはず!という物差しを持たない事。」という事を話してくださいました。やはりリーダーシップでも「相手にフォーカス」する事の大切さがトピックになりました。
デール・カーネギーの時代から、もっと言うと人類の歴史が始まって以来、景気がよくても悪くても、ストレスがゼロになることは難しいということは、今も変わっていません。そして、今後も変わらないでしょう。私もストレスレベルが高い状況下では、パフォーマンスやアウトプットに影響する事は自分の経験から日々実感しております。この話をする度に「コーヒー事件」を思い出します。それは私が大学の時にアルバイトをしたレストランで起こりました。支配人の方が、それはそれは厳しい方でした。シフトでその方とフロアサービスで一緒になる日だと「今日は行きたくない。バイト休みたい。」と思ったほどでした。行きたくないのですからパフォーマンス発揮以前の問題でした。支配人は私たちアルバイトのミスが起こることを「待ってました!」とばかりに、私たちは個室に呼ばれてコーチングとは程遠い「お説教」をされました。その影響でアルバイトが週替わりで辞めていくような環境でした。お客様どころかアルバイトどおしも初対面のシフトなども珍しくありませんでした。そして支配人はますます機嫌が悪くなる、、、。当然、アルバイトの私たちはお客様フォーカスではなく、支配人の顔色フォーカスでお仕事をするようになります。まさに悪循環でした。私がどうなったかというと、緊張のあまり、お客様のテーブルにコーヒーを持っていく際に手が震え、コーヒーがカップからこぼれてしまうのです。カップの中のコーヒーはお客様のお席に到着する前に半分になってしまうのです。どうみてもその量ではお客様には出せないので、途中までもっていっては、こぼれてパントリーに戻る。という事を繰り返す始末。練習ではうまくいくのに!支配人の前ではできないのです。大学生の私は学校の勉強にも集中せず、コーヒーが運べないことが「この世の終わり」と思ったほど、コーヒーで頭がいっぱいでした。今思えば、当時のお客様に申し訳なかったと思います。コーヒーを持ってくるウェイトレスが緊張感で手が震えて、顔が青ざめているお店。。。コントのようなお話しですが、お客様はリラックスできていたでしょうか。そんな違和感満載な空間にまた足を運びたいと思うでしょうか。お客様はそのような緊張感や違和感を一歩お店に入るだけで感じたりするものです。私は、その空気はお店の外にも伝わるものではないかと思います。良いお店はお店から出てきたお客様の笑顔で世の中を明るくするからです。そして、リピーターやご紹介で溢れるビジネスを展開し続けることができると信じています。
リーダーであれば、仕事のパフォーマンスに影響を及ぼすようなストレスをチームメンバーが抱えている場合に、それに気づいてあげることが大切です。ストレスを軽くしてあげられるような環境を生み出すことがリーダーのお仕事なのです。そのような職場環境であれば、チームメンバーは最大の可能性を発揮やすくなり、クライアントもハッピーになるのですから、良い成果が得られる事でしょう。
後半では、自分自身や所属するチームが困難な状況に遭った時にストレスと不安をコントロールするのに役立つヒントをご紹介します。
お帰りなさい!それでは、ストレスと不安をコントロールするヒントについてみていきましょう。今日は実際のトレーニング受講者の皆様にも人気の高いものを4つご紹介してまいります。
今というその瞬間を大切にする
デール・カーネギーは今日という「一日の区切り」で生きる。という事をお勧めしています。私のコーヒー事件にも言える事ですが、サービスを行なうプロは、否定的な経験が将来のパフォーマンスに響かないようにうまく切り替えていくことが必要なのです。過去の失敗、未来の不安が現在のパフォーマンスに影響しないようにするのです。コーヒー事件の頃の私も毎日毎日、昨日のコーヒーと明日のコーヒーの事で頭がいっぱいで、今目の前にあるコーヒーに集中できていなかったのでした。カスタマーサービスに関して言えば、その瞬間を大切にし、目の前のお客様の事を思うことがポイントとなるのです。
悩みの価値限度を決め、それ以上悩むことを拒否する
「この悩みには何分悩む。と実際にタイマーを付けてとことん落ち込む。」という事を実践されていらっしゃる方もいるようです。そしてとことん落ち込んだ後は、落ち着いてその状況の改策が見つけやすくなったり、時には意図的に「放置」して前に進んだりすることができます。という共有をおききしました。今の私の上司の山本は切り替えの達人ともいえるかもしれません。彼は「どうしても落ち込みが激しい時は、デール・カーネギーが言った、「死んだ犬は蹴とばされない」を思い出しましょう。」と言います。その言葉に何度となく救われました。そう。今がどん底ならこれ以上悪くなることはない。これから上がる一方。と瞬時に心を入れ替えられるようになります。
3. 他者の幸せのために尽くす
コーヒー事件の頃の私は、支配人の方を恐れるあまり、支配人やお客様の気持ちを考える余裕はあっただろうか。と振り返ります。デール・カーネギーは「人生はまるでブーメランのようである」と言いました。何か善い行いをしているとき、または自分が誰かを助けているときは、否定的な気分を持ち続けることは難しいと思います。つまり、他者に良い事してあげれば自分も気持ちがよくなるのです。お返しや見返りが直接その方から私たちに戻ってこなくても、私達の心は温かい気持ちになるのです。
4. 最善を尽くす
非難されると平常心ではいられなくなりがちです。私たちは、何か否定的な事を言われると自己防衛をしてしまい、「私は、そこまで言われるほどのことはしていない!!」と感じるものなのです。自尊心が傷つけられると、パフォーマンスに影響します。非難を見定める一つの方法は、自分が持っている知識と能力で最善を尽くしているかどうかを自問してみます。最善を尽くしているのであれば、「不当な非難はしばしば賛辞の裏返しである」とも言えるかもしれません。もちろん、自身のパフォーマンスに改善の余地がある場合はそのメッセージをポジティブな学びととらえて、感謝しましょう!そして最善を尽くして、改善に努めるのです。そうすると心が軽くなるものです。
今回はストレスに対処する原則4つについてみてみました。次回も職場でのパフォーマンス向上に役立つストレスマネジメントについてさらに見ていきたいと思います。
コーヒー事件の頃の私は気持ちを切り替える事はとても難しかったのですが、苦肉の策として、カラのコーヒーカップをお客様の前にセットしてその場でポットからコーヒーを注ぐことにしました。そうすると、私の表情はいくらかリラックスして、お客様との対話を楽しめるようになったことを思い出します。この経験から私は、今でも、お店でドリンクをこぼさずにテーブルに運んでくださる方に感謝と尊敬の念を忘れることはないこともお伝えしたいと思います。
トレーニングでストレスマネジメントについてお話ししていると、トレーニング受講者同士がお互いの気持ちに共感しあい、ストレスについてお話ししているにもかかわらず、受講者の皆様のお顔がだんだんと明るくなっていくことが嬉しくてたまりません。
デール・カーネギーは「悩んでいるなら散歩にでもでかけよう!」と言っています。じっと座って悩んでいるくらいなら、状況が許す限り、外に出て歩きながら考えるのはいかがでしょうか。そうすれば、心も軽くなり、健康も手に入れることができます!