前回のエピソードで、まず、セールスパーソンの方が、お客様を信じることが大切。とお話ししました。今日は「信頼の言葉」についてお話ししてまいりたいと思います。
一番最初の自社紹介のようなものなのですが「信頼の言葉」と銘打つくらいですから、信頼関係構築に非常に影響があるフレーズであることが推測できると思います。電話でアポを取るとき、初めてのメールを送るとき、ネットワーキングイベントで初めてお会いした方とお話しするとき、初めて将来お取引する可能性がある方とお話しをする際にどのようにすると良いでしょうか。デール・カーネギーのセールス哲学は「It’s all about them」つまり、とにかく「彼らが主役、彼らのために」という矢印の向きを意識してほしいのです。
アリストテレスも同じことを言っていますが、信頼を得るには、いきなり自社商品について話さないこと。自社商品を使って成功しているクライアントの成功事例について言及してあげる事が大切です。これを無意識で行っている方も多いかもしれませんが、多くのセールスパーソンの方は自社製品の素晴らしいところやスペックを最初から伝えてくる傾向にあります。「自社製品のすばらしいところを直接伝える事」と「自社の提供したソリューションにより成功したお客様の事例を伝えてあげる事」とは似て非なるものであることを覚えておいていただきたいと思います。
「信頼の言葉」は4つの段階で展開されます。後半で詳しく見てまいりましょう!
はじめに、自社の活動の一般的な利点について概要を示します。例えば、弊社であれば、「デール・カーネギー・トレーニングは、クライアントの成功を生み出すために必要な気づきを与え、行動変容をチームにもたらします」というような感じです。
2番目に、自分達が信用あるサービスやソリューションプロバイダーであることの証明として、他社事例、できればお話しをしている方と同業の方にサービスを提供した際の具体例をお話しします。弊社の場合は「この一例として、私たちはある高級ブランドのセールス・スタッフにトレーニングを行い、30%の売上増加に貢献しました。」といった感じです。
3番目に、これらの利点と結果が聞き手にとっても関係があるものになるように、1つの重要な提案を紹介します。しかも断定はしないことがとても大切です。「もしかすると」の一言を加えるのです。「もしかすると御社でもこれと同じことを実現させていただける可能性があるかもしれないと考えております。」
そして最後の4番目に、次の段階に進むことを示す言葉、お客様の求めるものと自社が提供するソリューションがマッチするかどうかの質問をする許可を得るのです。
「それが可能かどうかを知るためにもいくつか質問をさせていただいても良いでしょうか。」
お客様が同意したら、その方の現状、理想の姿、妨げになるものなどについてお聴きします。ずばり「彼らにとって成功とは何でしょうか。」についても尋ねてみると良いでしょう。
自社のソリューションで満足した顧客事例、断定せずに「もしかしたら」という言葉を付け加える。そして、質問をさせていただいても良いでしょうか。という許可を取る事。自社製品がどんなに素晴らしいかを聞かされることよりも、商品がフィットするかどうかを知るためにいくつか質問させていただいても良いでしょうか?と矢印を向けてもらったら皆さんでしたらどう感じますでしょうか。
このようなセールスパーソンに出会ったら、私はうっとりします。本当に心からテンションが上がります。
「信頼の言葉」はとても短いので、しっかりご自身の言葉として話せるように準備と練習をしておきましょう。その型・フォーマットが身についていれば、そこから応用が効くようになっていきます。
電話でのアポを取る場合は、信頼の言葉を応用して、実際にお目にかかって質問をさせていただきたい旨を伝えてアポイントを提案したり、エレベーターピッチやネットワーキングイベントの際は、名詞を交換して改めてご連絡をさし上げるお約束を取り付けるということができます。
このことを知った上で新たな視点でセールスパーソンの方々を見渡してみてください。皆さまのセールスパーソンを見る目が変わっているはずです。今まで気にも留めていなかったかもしれませんが、他のクライアントの成功事例をしっかりと提示し、質問をしてくださるセールスパーソンの方を発見したら、皆様の中にその素晴らしい方々に気づける新な視点が養われたことになります!!!そして、次はあなたがそれを目の前のお客様に実践する番なのです!