我々にとって、部下にとって、組織にとって、理想のリーダーシップ、とはどのようなものでしょうか。
弊社の代表がとある人事関係フォーラムに参加した時の話です。フォーラムが終盤に差し掛かり、参加者はとあるトピックについてのディベートにヒートアップしていたそうです。そのトピックとは、『リーダーは、結果を出すために、部下に対して厳しくあるべきなのか。はたまた部下の向上心や能動性を高めるべきなのか』だったそうです。
『求める目的によって違う』、という観点では如何でしょうか。例えば、『部下に掛ける時間が費用対効果に合わない』という考えをもつリーダーがいれば、それはそれで間違っているわけではありませんし、否定するつもりは一切ありません。その方は、すべてをオートメーション化し、ご自身で対応可能な範囲のビジネススケールで結果を作り出せばいいのですから。納得できないことを塗りやりさせられるよりはご本人の効率もいいでしょう。これが組織に属している場合や、一人で回す範囲以上の結果を作り出さないといけないリーダーの場合は当然、部下がいるわけです。
では、ここで前述と同じ目的を目指そうとすると何が起きるでしょうか。仮にAというリーダーがいて、その方の目的やVisionが『自分の成功』や『目前の数字』のみであれば、極論として、Aは『自分がどれだけ良く見えるか』と『数字を上げられないなら会社をやめろ』のカルチャーを作り上げることでしょう。そうなれば、仕事環境はどうなるでしょうか。部下の能動性への影響はどうでしょうか。
エンゲージメントやモチベーション、責任感はどうなっていきそうでしょうか。そして仕事の質は、どうなっていくでしょうか。パレートの法則というものがあります。簡単にいうと『全体業績のうち80%は、メンバーのうち20%で作られている』というものです。ではもし、80%のメンバーの生産性を上がることが出来れば、どうでしょうか。成績優秀の20%のみが数字を上げていくのと比べて、どれほどのプラスの収益が見込めるでしょうか。面白いもので、全体の生産性が上がっても、パレートの法則自体は変わららいので、トップの20%の成績も更に上がります。
とはいえ、時にはやる気のあるなしに関わらず、押し付けてでもやらせなければいけない時がある!と考えられる方もいるかもしれません。どんな要因を考えるべきなのでしょうか。
さぁ、やる気のあるなしに関わらず、押し付けてでもやらせなければいけない時がある!リーダーとして、そう考えたくなる時もあることでしょう!ここで、もう一度考えてください。無理やりやっている仕事の質は、どうでしょうか。その時は何とかなっても、将来的にはどうでしょうか。逆に会社のVisionと部下のVisionの整合性をとることが出来ればどうでしょうか。やっていることが会社に認められると認識でき、それが実感できていれば、モチベーションに影響はどうでしょうでしょうか。
更に、対応している仕事が自分のVision達成にとってどうプラスになっていくのかが具体的に腹落ちしていけば、どうでしょう。その為には、リーダーはその方のことを知り、その方が何を欲しているかを理解する必要があります。ですからコミュニケーション能力と時間を捻出するための時間管理能力がリーダーにとって非常に大切なスキルなのです。ここで時間捻出に影響を与える権限委譲についても触れてみましょう。『上手くいかない』とご相談をいただくこともございます。
ほとんどの場合、『なぜ』に触れていないからです。『なぜ』その方なのでしょう。『なぜ』その方は今の仕事にプラスしてでも、そのタスクをすべきなのでしょう。この腹落ちが出来ているのといないのとでは、質やスピード、クリエイティビティなどに天と地の差が出ます。相手のVisionを把握してください。状況を把握してください。さもないと、相手はそれを『ただ押し付けられたエクストラの仕事』と取ることでしょう。それでもやれよ、社会人だろ?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
よく聞くのが、『任せたが、結局質の低いものが返ってきて、時間もなかったし自分でやってしまった。余計に疲れた。』というコメントです。まさに、こうなってしまうのです。我々リーダーの仕事は、会社のVisionと部下のVisionの整合性をとり、期間や達成度合いに分けた目標を期限を設けて設定し、マイクロマネジメントを避けていくことです。
これは、簡単に出来ることではありません。部下との関係性や信頼性の構築、その為の環境作りなど、リーダーは多くのtoDoをこなさなくてはならないのです。その為には、ご自身のぶれないVisionを大切に、自信と誇りをしっかりともつことも、また大切なのです。