ビジネスコミュニケーションにおいて、これが100%正しい、という『絶対的な正解はない』と個人的に考えています。Dale Carnegieの方法も、あくまで数ある方法の内の一つです。今までが間違いなのではなく、引き出しを更に増やす。その為にも今回は、我々が提唱する質問型セールススタイルに目を向けたいと思います。
トレーニングをするなかで、色々なスタイルを持つセールスの方々とお会いします。中には、セールスとは『自社商品を良さをどれだけうまく伝え、他商品よりどれだけ優れている点やお得かを伝える仕事である』と考えられる方とお会いすることもあります。相手を問わずに同じプレゼンをし、響いていればよし。数で勝負。というスタイルです。一つのセールス方法ですし、状況や相手との関係性によっては、効率的ともいえるでしょう。では、Dale Carnegieの質問型セールスとどのように異なるのでしょうか。全体の会話の流れの中で、今日はスタートに当たる話初めに注目したいと思います。このステップの目的は、相手に我々の話を聴く価値を感じてもらい、話す許可を得ることです。これは自己紹介のようなもので、簡潔に行う必要があります。我々が何を販売している企業で、なぜ相手に話しかけたのか。
この2点を端的に伝え、最後に相手に関連性を伺います。そうすることで、相手は自身にどのように関連するのかを短時間で判断することが出来るのです。例えばこういった具合です。『弊社はビジネスコミュニケーションのトレーニングを行う世界的なエキスパートです。実はコロナ明けの影響もあってか、エンゲージメントのトレーニングのご依頼をいただく機会が多くなっておりまあす。御社ではご状況如何でしょうか。』。
相手が現在関連がないと判断すれば、その時は無理に話しを長引かせず、相手に好印象を残すことが出来るように潔く会話を切り上げましょう。そうすることで、将来的に関連が出たときの可能性にもつながりますし、お互いの時間を無駄にすることもなくすことが出来るのです。こういった具合です『ご状況をお伺いするに、現状では我々が御社に貢献できる機会はなさそうですね。安心しました。それでは将来的に必要性が出てくる可能性もあるかと存じますので、半年を目安にご連絡をさせていただいてよろしいでしょうか。』相手に判断をしていただき、許可をとることが大切です。さて、関連性やビジネスに繋がる機会を更に増やすためには、どのような工夫が出来るでしょうか。
相手は自分の関連性を感じたいわけですから、更に具体性を持たせることが出来ます。相手の業界において、我々が他社にどのような提案をし、そして実績があるのか。そして、その証拠を提示することも、相手のロジカル的納得感をあげることに役立ちます。導入したことでの結果を、ROIなどのデータや、テスティモニュアルでサポートすることが出来ます。例えば『御社の競合他社にあたるA社ではエンゲージメントのトレーニングを導入いただいたチームで、受講から3ヵ月以内の生産性と売り上げに10%の増加が確認できたそうです。』といった具合です。勿論、嘘はいけません!
ご存知の通り、信頼性は一度失えば、戻すのに途方もない労力と時間がかかるのですから。相手が具体的な関連性を考え始めたら、我々が先方にとってお役に立てる可能性があるという提案をしてください。確約でも主張でもなく、あくまで提案です。ここでの目的は、アポイントメントの許可を得ることです。『御社でもお役に立てるのではないかと考えております。勿論御社ではご状況を異なるかとは思いますので、確約をするつもりはございませんが、その後判断をいただくためにも一度お話を聞かせていただく機会をいただけますでしょうか。』。
コールドコールをされているのであれば、ここで次回ミーティングの日程提案をされてください。もし、先方と既に対面や相手のお顔が見えるオンラインミーティングであって、ここで先方がこのまま話が聴きたい、ということであれば、次のステップに移ってください。初めての電話先ですべてをこなそうなどと思わないでください。このステップで大切なのは、好印象と関連性を感じてもらい、アポイントを取ることなのですから。