即興で人前で話すのは、なかなか難しいことです。イヤイヤ、そんな機会あまりないし、起きたとしても重要な場面じゃないし、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。確かにそうかもしれません。問題は、たとえそれが、例えば無礼講の飲みの席だとしても、聴き手は話し手をジャッジします。なーんだ、この程度か、で終わるのか、逆に『こんな機会で、しかも急に振られたのに即興でここまで話せちゃうのか…やっぱりこの人すごいな』という信頼株をあげる機会に変えられるのかは、我々次第なのです。そこで今日は、即興で話す機会に役立つヒントを3つご紹介します。
まず考えるべきは、要点です。分かり易く、端的に、何を伝えたいのかを考える必要があります。話慣れしていて緊張は特にしない、という方でも意識すべきポイントが、この『落としどころ』です。ここが明確でないと、話はどんどん長くなります。話しているうちに、あれもこれもと考え始めると、本筋から脱線していき、『先程も言いましたが~』などと同じようなことを繰り返し口にして、気が付いたら10分、20分が経っていたなんて日には、話し手は勿論、その話し手を指名した人物までも、聴き手から白い目で見られてしまうでしょう。即興で振られる話の期待される持ち時間は、2,3分程度です。逆に短いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、長く話すよりも、要点を短くまとめる方がスキルを要しますし、伝わるメッセージ性が高くなります。別の言い方をすれば、よりプロフェッショナルなのです。
なるほど、落としどころか、でもそんなのすぐに頭に浮かばないよ!と思われた方、グッドなポイントです。2つ目のヒントは、まとめを作る時間を確保することです。では具体的にどのような方法をとることが出来るでしょうか。
要点をまとめる時間を稼ぐ具体的な方法には、指名者や聴き手に対して感謝の言葉を添えたり、短めのジョークや著名人の引用句を入れたりすることがあります。感謝の言葉やジョークを述べている時間で、頭の中で要点をまとめてしまう訳です。そしてその為には、そこまで意識を集中しなくても滑らかに話せるような用語の引き出しを幾つか用意して、練習をしておくことをお勧めします。備えあれば、憂いなしです。
さぁ、要点がまとまったら、3つ目に考えるべきは、要点にもっていくまでの話の構成です。これも、いくつかバリエーションを持っておくと良いでしょう。例えば、時間軸を使って話す方法があります。以前はこうだったのが、今はこうなりました。だから将来的にはこうなっていくでしょう、というように、過去、現在、そして未来を話すという応用性の高い構成です。他には、大きなテーマから、小さいテーマに焦点を当てる方法があります。まず総体的な問題にふれ、その原因となる問題がいくつかあるうちの、1つについて話します。といった具合です。取り組むべき問題などを話すときは、大きなゴールと直近のゴールがあるかと思いますので、目的を最初から明確化し、大きなゴールを達成するために、これをしましょう!というようにまとめていくことが出来るのです。また、例をあげて話す構成もあります。例としては、こういったことに取り組んでいたところ、こんな結果を出した事例がある。だからこそ、我々は要点をしましょう!というように構成できます。他にも類比を使って物事に例えながら話すなど、色々な構成が考えられますので、いくつかご自身が得意なフォーマットを持っておくことをお勧めします。これも、常日頃の会話などに取り入れたりしながら、あまり意識しなくても出来るよう、慣れていくことをお勧めします。このように、急に振りかかってくる即興のスピーチも、実はある程度準備や練習をすることが出来るのです。ピンチをチャンスに変え、ご自身のプロフェッショナルな印象に更に磨きをかけ、聴き手に信頼を感じてもらいましょう!