問題が一切起こらない完璧な組織は存在しないと定義しても、問題ないでしょう。ビジネスにおける失敗やミス、欠陥、予想もしていなかったトラブルは、人間と酸素のように、切りようのないものだからです。今回は、こういったトラブルが、社外の方と起きてしまった時のリーダーの対応についてお話をしましょう。例えば、部下がクライアントの怒りを買ってしまった場合は如何でしょう?商品を提供したあとに、先方の担当者がその部下に激怒されていると仮定しましょう。この事態にどのように対処されますか?
実は、上司が状況自体をしっかりと把握できていない、というケースが多くあります。理由の一つとして、部下から上司への報告が明確でないことがあります。透明感がない、ということです。更に怖いケースで言えば、起きた問題を自力で解決しようとして手がつかないほど悪化した状況になって初めて、報告が行われた場合です。これだけは避けたい状況です。問題が起きるのは仕方のないことなのです。色々と課題は見えますが、その中でも、なぜ透明感なかったのか、つまり問題の報告がなされなかった理由に目を向けてみましょう。自分で何とか出来ると自信があったのでしょうか。それとも、問題を起こしたと認めたくない、怒られるのが嫌だ、といった葛藤でしょうか。はたまた、両方でしょうか。この問題は、その方が受けてきた教育にも大きく起因します。人生の中で、問題を起こして、怒鳴りつけられたことがあったり、自信を喪失させられるなど、ネガティブな経験のみ、を受けたことのある人は、潜在的な傷を負います。それは本人も気付かないトラウマとなり、条件反射のように、我々の行動に影響を及ぼすのです。さらにその上で、自分の経験は勿論、周りに問題を起こして上司に怒鳴りつけられているところを見てしまえば、この影響は更に強まります。では、クライアントとの関係にひびが入ったり、自分のチームのメンバーのやる気を失わずにまるく収めるには、どうすればよいでしょうか?
まずは、怒鳴りつけるは、どのような状況においても避けなければなりません。本人は勿論、それを見ている周りにも影響が出ます。怒りにエネルギーを注ぐより、原因究明とその後の対応にエネルギーを注ぎましょう。
原因を明確化するには、部下と先方両者の言い分を、偏りなしにしっかりと聴く必要があります。自分では満足のいく仕事だと思っていたことでも、グラスが半分からのように、相手からすると納得いかない場合もあります。こちらでどうしようもない理由があったとしても、相手からするとそんなこと知ったことか、ということは多々あります。人と人の相性もあるでしょう。理由何にせ、しっかりと傾聴をすることが大切です。表面的な問題ではなく、根本的な問題まで真摯に聴き、そのうえで謝罪の為にお詫びの品やご挨拶に伺い、それでも満足がいかない相手であれば一部でも全額でも返金が必要となるでしょう。先方と部下、両方からの信頼を護ることが我々リーダーの仕事なのです。その中で、担当の入れ替えを余儀なくされることもあるでしょう。そういった時にも、しっかりと部下のケアをすることを忘れないでください。怒鳴りつけるのではなく、どのように次回に活かすかの気付きを得てもらう、洗練されたリーダーシップが求められるのです。