メッセージ性が明確かどうか、大きく分かり易い点にこれがあります。端的で印象的な締めくくりは、メッセージ性の度合いに大きく影響します。スピーチを構成するにあたり、まず自分が伝えたいメッセージは何なのか、というポイントを簡潔にまとめてください。ポイントは簡潔であることです。ですから、これもあれもそれもと続けるよりも、1つのメッセージに絞ることをお勧めします。伝えたいポイントがいくつかある場合は、それらをサブトピックと考え、それをすることで成し遂げられるメイントピックは何なのかを考えることをお勧めします。メインとなるメッセージが明確になったら、その根拠となる証拠を揃えてください。根拠のないスピーチは、主観的な主張と捉えられてしまいます。聴き手が納得感を得るためにも、メッセージを裏付ける証拠やストーリーを入れましょう。そして、もし聴き手の層に偏りがあるようでしたら、その層にあった証拠を使いましょう。例えば、数字を好む聴き手が多い想定でれば、証拠も数値化したデータを利用すると良いでしょう。ヒントは『聴き手がどれだけ分かり易いか』なのです。常用なポイントなので、もう一度言います。どれだけ自分が伝えたいかでなく、『相手がどれだけ理解しやすいか』なのです。聴き手を意識しないスピーチで満たされるのは、自己満足感だけなのです。
メッセージとこれを支える証拠となるストーリーを入れたら、スピーチでの出だしも考えましょう。第一声で聴き手の関心が高まるにはどのような工夫が必要でしょうか?
スピーチが始まったと同時にスクリーンに映し出されるスライドが、大量な情報が詰め込まれたごちゃごちゃしたものだったらどうでしょうか。多くの聴き手がスライドに注目を引き寄せられてしまうでしょう。真面目な聴き手であれば、理解を得ようと目から情報の集中をすることでしょう。逆について行けないと集中力が乱される方もいるかもしれません。どの状態にしろ、耳から入ってくる情報への集中力はどうなるでしょうか。目から入る情報は端的であることが基本です。ほんの数秒の内に取得できる情報量にしましょう。その為には、色使いも多すぎないようにすることが大切ですし、グラフを使うようでしたら、ひとスライドにつき、ひとつのグラフに抑えることをお勧めします。ただし、似通った情報を延々と話し続けると、聴き手の注意力は散漫になりがちです。なんのために、何を見ているのか。明確になるメッセージをいれ、しっかりと抑揚をつけましょう。抑揚は大切です。音楽に例えると分かり易いでしょう。サビや盛り上がりのないモノトーンが続けば、たとえ素敵な伴奏でも何となくぼんやりとしたものになるでしょう。ここが伝えたいのだ、ということが声のトーンや間を使って明確になるようにしましょう。我々がプレゼンで練習すべきは、どれだけ紙に書いたことを暗記できるのかの記憶力テストではなく、鏡や録音を使い、要点がしっかりと聴き手が分かり易いように強調されているかの確認の為に行うべきなのです。
そして締めくくりは力強く行いましょう。再度、伝えたいメッセージを強調し、その実現の為に、我々がとるべき行動とその利益を明確で端的に、力強く言い切るのです。締めくくりまで聴き手を意識し、分かり易く、端的になぜこの行動をとるべきなのかを思い出させてあげてください。聴き手の心に刺さるプレゼンターになるためには、メッセージ性の高さをしっかりと意識することが大切なのです。