コンサル型営業を行う方や、営業のHowto本を読まれたことがある方なら、誰しもが『傾聴』がこのセールス・スタイルの基本である、ということに気付かれていると思います。傾聴によって相手の問題を把握し、顕在的そして潜在的課題を掘り出す。そしてその課題解決の手助けとなる商品提案をする。これがセールスの流れです。
では我々の中の何人が果たして、傾聴に自信がある!と胸を張って言えるでしょうか。傾聴をする姿勢は100%、相手に集中しきれている、と言えるでしょうか。勿論、クライアントによっては、質問されること自体にあまり協力的でない方もいらっしゃいます。中には、競合と比べたいだけだから、とりあえず商品説明だけして。というクライアントもいらっしゃることでしょう。
ここでどんな決断を下すかは、今回は敢えて触れませんが、間違いなく言えることは、たとえ相手がどんな方であったとしても、相手には、購入の動機、が存在するということです。そしてこの同期は4つのカテゴリで分けられます。
導入に関わるバックグラウンド、つまり問題や課題はどこでしょうか。相手によっては、単にKPI達成の為、またはしっかりと問題を把握していて、例えば使命感といった思いをもって取り組もうとされていらっしゃる方もいるでしょう。ここを知る必要があります。むろん、潜在的課題もここに当たります。そして導入にあたりどの企業でも基準を持っています。
つまりいつまでに、どれくらいの費用感で、といったものです。この基準は導入にあたり交渉をかける要素となるので、しっかりと知りえる必要があります。更に、我々人間はリスク対応をしようとする生き物ですので、導入をしなかった場合のリスクも確認しましょう。
この要素をしっかりと確認することで、提案時の緊急性などリマインドにつながります。そして、最後であり担当者の心をくすぐるキーとなりえるのが、個人にとっての利益です。課題解決が出来た時、どんな影響が担当個人に出るでしょうか。ここを把握しているかいないかでは、提案時に大きな差が出てくるのです。
問題は、購入プロセスには、異なる役職の人間が関わってくる、という点です。役職によって気にする動機は異なってきます。質問だけでなく、確認を織り交ぜながら、情報に漏れが出ないよう、しっかりと質問をしきることが大切です。これらの情報を無理やり聴きだそうとすれば、尋問になってしまいます。では、相手が尋問と感じないように質問をするには、どのような流れが大切なのでしょうか
質問の流れでよく聞くのが、SPIN形式です。現状を確認し、問題を把握し、導入しないことでのリスクを質問し、導入出来た際の成果を質問する、というモデルです。問題を明確化して、オポチュニティーコストを確認する、とても効率的な方法の一つです。セールスの歴史の中で神のような存在、ジグ・ジグラーはこのように言っています「クライアントが望むものを手に入れる手助けをあなたが十分にできれば、あなたはあなたが望むものを手に入れることが出来るでしょう」。
デール・カーネギー・トレーニングでは、相手が望むことは何か、に重きを置いています。なぜなら、デール・カーネギー・トレーニングがリーダーシップでもプレゼンでも、どのコースでも触れている、『相手の能動性を促すには、相手の望むことに触れる必要がある』からです。セールスだって、人間が関わってくる限り、同じなのです。
相手の夢を描きましょう。現状として課題や基準、オポチュニティーコストの確認が済んだら、相手の夢を描くのです。描いて描いて、そこからその夢を達成するための妨げと、乗り越えた先の成果を確認するのです。傾聴とは、相手もこちらもワクワクする、提案を聴くのが楽しみです、そんな状態で終えることが高い確率で出来るようになった日には、堂々と、自信を持って傾聴が出来ると胸を張っていただきたいと思います。