世の中には、交渉とはこうするべきだ、というHowTo情報が多く出回っています。その中で我々が推奨するのは、Win-Winの関係を構築するための長期戦術です。たとえば一度きりの取引であれば、短期的に考えればWin-Loseにもっていっても別に、という観点もあるかもしれません。我々は、ビジネスとして、会社という大きな看板を背負っているわけですから、どんな大きさであれ、火を起こさないに越したことはありません。そこからどんな煙がたつかは分かりませんし、なにより公正であることに誇りを感じられるから、という理由でもあったりまします。フェアである。正直である。ということは、信頼につながります。特に日本では、出来る限りリスクを減らしたいという風習が根強いですから、信頼という言葉は非常に多くの意味を持ちます。『知らない天使より、知っている悪魔』という言葉が存在するくらいですから、信頼とは恐ろしいものです。信頼を得るためには、一貫性は欠かせません。次の4つの点に注意してみてください。一つ目『分析』です。相手にとっての接待条件は何か、そして希望条件は何かを把握することです。ある程度の量の交渉条件があれば、より交渉はしやすくなるでしょう。条件を把握するには、相手の視点に立つ必要があります。何を大切にされる方関心を持っているのだろうか。このタイプの方ならどういったとこは譲れないだろうか。どういった情報を好まれる方だろうか。こういったポイントは、会ったこともない方といきなり、というと難しい点ではあります。が、相手の役職、職柄、から予測を立て、後は話の流れの中から相手のタイプを探し出し、準備した情報の中から適切なものを提供するのです。絶対的は確実に落とさず、希望的条件を上手く曲げていくことがキーになります。次に『ロールプレイ』です。大切な商談であれば、練習をしてみることも大切でしょう。誰かに役を依頼し、実際にロールプレイをしてみるのです。その上で、自分が提案した付加価値をどう感じたか、自分の口調や構成は共感を呼ぶものだったかなど、フィードバックをもらったり、この場合どうすべきかなど、ディスカッションをすると良いでしょう。
『感情のコントロール』です。交渉の中では、我々の感情を逆なでする言い方や言い回しをされることもあるかもしれません。自身が感情的になりすぎていると感じた場合は、交渉プロセスを一時中断できるよう常に準備しておく必要があります。そして、その準備があるのだ、ということが心にあれば、少し、余裕が持てることでしょう。最後に『合意』です。合意したすべての点を確実に明記する必要があります。署名の時点で修正する必要があるものは、放置しないでください。後で細かい点で争いがないように、何がカバーされていて何がカバーされていないかを明確に書面に残す必要があります。解釈にずれが出ないよう、曖昧な言葉遣いはさけた分かり易い文面にすることが大切です。双方にとって踏むべきプロセスも明確化し、順守することができれば、関係性にも影響が出にくくなるでしょう。柔軟性と誠実さを胸に、交渉と契約に取り組んでください。