先日のトレーニングで、そもそもお仕事とは何?というディスカッションをしました。皆様にとってのお仕事、働くとはどのような事を意味するでしょうか。
働く事とは、1)周りの方々のお悩みを解決すること。心配事を解消してあげる事。2)悩んでいないのであれば、さらに楽になる、または楽しくなるために何かを提供すること。つまり「働く」とは「傍が楽になる」ようにお手伝いすること。とお聴きしたことがあります。この考えを踏まえたうえで、セールスの皆様のみならず、お仕事で何かを交渉する際に知っておくと有益なことを見てまいりましょう。どんなものを売るにしても、お客様の性格や所属部門によって異なる様々な期待をもっています。お客様のニーズや視点に基づいた提案を行いましょう。一人のお客様が複数の期待を持っている場合もあります。大きく分けると4つに分かれる所属部門ごとに異なるお客様のニーズや期待があります。
では、それぞれの4つの所属部門別のお客様のニーズや期待を見てまいりましょう。
1つ目は CEO や経営者の方などの「エグゼクティブバイヤー」です。このエグゼクティブバイヤーの方々は組織全体への影響を考慮するため多数の視点を持っています。彼らは組織全体の方向性や従業員についてとても詳しく把握しています。同様に、ギャップや足りない点についても非常によく理解しています。組織として偉業を残したいという壮大なビジョンを持っている方も少なくありません。地球に爪痕を残したい。という地球規模の枠にはおさまらず、スティーブ・ジョブズが「宇宙に凹みを残す」という言葉を残したように、今では宇宙規模のスケールで考える経営者の方も多くなりました。彼らの購買や投資の基準のスケールを理解するセールスパーソンになることができたら、彼らも喜んで私たちのために時間をとり、彼らのビジョンをシェアしてくれることでしょう。
2番目は。CFOや経理、財務部門にいらっしゃる「ファイナンシャルバイヤー」。彼らは、ビジネスを安全、効率的に行い、生産性を上げることに興味があります。彼らは、確実に投資による効果があって支出を正当化できるかが判断基準です。また、価格、支払時期、貸借貸借表の上で資産となるか、支出になるのか、などが関心事です。データ、証拠などを示すと心地よく感じて頂けます。ビジネス拡張やコスト削減のために投資をすることで、さらに多くの利益をもたらす可能性を示すことができれば、一心に耳を傾けてくれることでしょう。収益の観点で話をすることで、ファイナンシャルバイヤーの方々は、我々とのパートナーシップに興味を持ってく出さる事でしょう。
3番目は、技術面を重視する「テクニカル・バイヤー」。彼らは、仕様やスペックが彼らの求める条件を満たしているかに関心があります。規格、寸法などの詳細に興味を持ち、投資効果があるということをご理解頂けると良いです。このタイプの方々は新しいこと、複雑なこと、高価なことが大好きです。彼らは、もっと多くの予算を獲得するために、エグゼクティブバイヤーやファイナンシャルバイヤー を説得するための情報提供をしてくれるパートナーを望んでいます。
4番目は、使いやすさの面を重視する「ユーザー・バイヤー」です。使いやすさ、機能性、緊急時の対応などに関心があります。このタイプのお客様は最終的な意思決定者でない可能性もありますが、デシジョンメイキングに大きな影響力を持つこともあります。そのため、決定権を持つ方々を説得するための情報も必要としています。他社事例や、財務部門の方々に数字などのデータを示せるようにサポートができると良いでしょう。
根本的な事ですが、商談の前に名刺交換をしていれば、お客様のご役職は一目瞭然です。また、名刺交換前でもネットやSNS、または知人や他のネットワークで知り得るそれらの情報から想定されるお客様の関心事をある程度想定して準備していくことはとても大切です。そのことで、お客様に合わせたミーティングを持つことができ、相手の方の大切な時間にも敬意を払う事ができます。
しかしながら、私たちが目指すのは、役職や立場だけでお客様の関心を判断し決めつけ、一方的なセールスピッチをするにとどまるセールスパーソンではありません。しっかりと相手の真の関心を見抜くための質問をし、お客様が解決したい課題についてや、課題が解決した理想の状態はどのような状態か、そしてその理想の状態になるための阻害要因、また、理想の状態になることができたら、組織にとってのメリットは何であり、そのお客様の個人的なメリットは何か、ということをしっかりとヒアリングしたうえで、お客様に有効な情報を提供し、理想の状態になった状況をありありとイメージしていただく事、そしてその状態になった時の気分を先取りで味わって頂くことがとても有効です。そのように丁寧に話を聴いてくれて自分がありたい姿に到達した時の感情を前もって味わわせてくれたセールスパーソンになると、お客様との心の距離が近くなるどころか、一体になっていると言っても過言ではない状態になります。セールスとお客様の関係性を超え、信頼されるアドバイザーとしてウィンウィンな関係性を構築できるのです。当然ですが、そのようなセールスパーソンからお客様は購入したい。もっと時間を共にしたい。と思って下さるのです。さらに言うと、この状態になれば、価格競争には陥いりにくくなります。製品は気に入ってくれたのに、最後に価格が理由で断られるということはなくなっていくことでしょう。
つまり、急がば回れ、、、お客様のためになるのです。
ちなみにですが、入札、相見積もりなので、お客様に質問をしたりする状況が許さないのです、、。というご質問も良くいただきます。その場合にどうしたらいいか。という事については、弊社のセールストレーニングの中でもよくディスカッションします。ある経営者の方はおっしゃいました、「自分達の理想の顧客像を設定し、そのようなお客様にしっかりと時間を作れるようにしておきたいです。つまり、入札、相見積もりにならない、理想のお客様とのお付き合いで忙しくしておくことがセールスパーソンとしてのあるべき姿です。」とおっしゃいました。私たちは自分達の努力で変えられることに尽力し、そのことでセールスターゲットを達成するプランが立てられれば入札、相見積もりで価格勝負の案件に一喜一憂しなくても良いことになります。
ですから皆さん。
お客様が理想の状態になった未来を一緒に味わう手助けをしていきましょう!そうすれば傍を楽にすることができ、働くことが楽しくなります!