プレゼンの冒頭と締めは飛行機の離着陸のようなものです。
一旦軌道に乗ってしまえば歩き回れるくらい落ち着く機内も、離着陸では
冒頭挨拶は、プレゼン全体の印象に影響を与える非常に重要な要素です。この意味で、謝罪で始めるプレゼンはリスクが高いのです。まず、聴き手にとっての印象はどうでしょうか。聴き手は時間を割いて聴きに来るという選択を自らしているのです。お越しいただきありがとうございます。と感謝されるならまだしも、『申し訳ない。』と謝られてしまうと、『あれ?間違った選択をしたのかな』と感じてしまう方がでるかもしれない、という、リスクが伴います。我々の印象にもリスクが生じます。謝罪を口にする場合は、自然と声のトーンも姿勢も縮こまり気味になります。するとプレゼンテーション自体の印象も縮こまりスタート、ということになるのです。じゃあ笑顔で堂々と謝ってみたらどうか?!実験的にやってみましょう。いきますよ
『皆さま、本日は皆さまのお時間を割いていただき、申し訳ございません!』さぁどんな印象を受けましたか?謝罪を受けているように感じられましたでしょうか?多分、印象自体はポジティブだったと感じられたのではないでしょうか?それなのにコンテンツ自体は謝罪というカテゴリとしてはネガティブなものですから、なにかチグハグさを感じられたのではないでしょうか。大切なのは、コンテンツと印象に整合性を持たせることなのです。
メラビアンの法則というものがあります。これは、目からの情報、耳からの情報、そして話のコンテンツに不一致が起きた時、ことプレゼンにおいて、聴き手は55%の比率で目からの情報、そして38%の情報で耳から、そして7%の比率でコンテンツに影響をうけた印象を持つ。というものです。その最たる例が先程行った力強い謝罪です。受けられた印象は結果、チグハグでしたよね。つまり、眼、耳、コンテンツに整合性を持たせることで100%の影響を聴き手に与えることが出来るのです。ここで考えるべきは、どのような印象を与えるプレゼンターになりたいかです。プロフェッショナルなプレゼンターとしてどういった方が思い浮かぶでしょうか?スティーブジョブズでしょうか?バラクオバマ元大統領でしょうか?それとも田中敦さんのようなYoutuberの方でしょうか。3名とも、聴き手に影響を与えるという点で非常に優れたスピーカーですが、印象は全く異なります。スタイルも語り口もバラバラと言っていいでしょう。共通して言えることは、熱意がある、ということではないでしょうか。心から信じていて発せられる言葉には、声の強弱やスピードといったスキル的な話うんぬんではない強大な影響力を持ちます。これが、マインドセットという影響力です。これは実は我々も日常的に使っています。感動した映画や本や音楽の良さを興奮しながら他の人に勧めるときなんかがそうです。人によっては『とにかくもうすごいから観て!』と言葉足らずで伝えているはずなのに、それを聞いた相手が実際にお勧めをみてくれる、なんてこともあるでしょう。感動の伝染です。ここには、話し手の心からの感動から来るワクワクした見た目、声の抑揚、そしてコンテンツ不足だとしてもお勧めする『とにかく見て』という3つの要素すべてに整合性が取れた影響があります。マインドセットの大切さがクリアになったところで、我々がどんな印象を与えるプレゼンターになりたいかに立ち返りましょう。ワクワクでしょうか?それとも落ち着いた論理的な印象でしょうか?どれを選ぶにしても大切なのは、熱意を欠かさないということです。心から発するメッセージを信じることです。ワクワクであってもが落ち着きであっても、『このポイントを伝えたいんだ』というメッセージにおいて、熱を落とさないことなのです。そしてもう一つ、自身のタイプを大切にすることです。あこがれているからと言って、無理に自分と全く異なるタイプのプレゼンターのスタイルに寄せる必要はありません。我々はそんなに器用ではありません。特に緊張が伴うプレゼンの場において、あれもこれもと意識を分けるのは至難の業です。寄せることに意識を集中するキャパシティがあるなら、熱意に意識をつぎ込んでください。そして、残りのキャパシティを聴き手がより聴きやすくするにはどう工夫したらよいだろうかにかけてください。そうすれば、必ず、聴き手にメッセージがより深く届きます。このセッションでは、オープニングを始める引き出しの量を増やすのではなく、ご自身が聴き手にとってどういった存在でありたいのか、というマインドセットにフォーカスした内容をお届けしました。改めて、ご自身がどのようなプレゼンターでありたいのかに立ち返っていただき、マインドセットから聴き手に影響を与えるプレゼンターになっていただければと思います。