例えば、腕のいい『歯科医』がいたとします。我々は患者さんの立場で想像してみてください。急に歯が飛んでもなく痛くなってきました!どうしても歯医者に今日行かなくてはいけない。なんと、かかりつけの歯医者さんがお休みです!ネットで近場を検索します。『腕の立つ歯科医だ』というコメントを見て、急遽、当日初診でお伺いです。歯の痛みと初診の緊張を抱えて、ドキドキしながら扉を開けて受付に行くと、レセプションの方の対応が、とてもたんぱくです。目も合わせてくれません。さらには診察室で案内された衛生士の方も同様の対応だったら!どうでしょう?『えぇ?ここ大丈夫か?』と、なんとなく先生の腕にすらも不安を覚えてしまうのではないでしょうか?『周りがこれだけたんぱくなら、とりまとめていらっしゃる先生も機械的な人なんじゃないかな…』そんな不安が頭をよぎるわけです。そんな感情の中、先生との実際のやり取りも普段以上に敏感になってしまい、『あぁやっぱり想像通り冷たい』となってしまう。ひとたびそうなってしまえば、そこからの評価の巻き返しはまぁ大変です。そして、まず再診お願いしようとはならないでしょうし、人によってはネットに酷評…なんて方もいるかもしれません。これが逆ならどうでしょう?扉を開けて入って、患者さんを気遣った親切丁寧で活気があるコミュニケーション。当然、取りまとめていらっしゃる先生への信頼感は前述とは異なると思います。では、どんな点に注意すべきでしょうか。6つのポイントについて触れていきます。
第一のポイントは、『アイコンタクト』です。相手の目を見て話す。基本のようですが、これがなかなか難しいものです。眼光鋭く見つめすぎれば、相手に『私、尋問にでもあっていますか?』と後ずさりをさせてしまいます。一対一で話されている場合は、こちらが話をしているときは相手の目を見るべきですが、相手の話を聞いているときは、うなずきのタイミングなどに合わせて、目をゆっくり閉じるや目線を外すなどしてあげるとよいでしょう。対複数にお話しされている場合は、一人当たり3~4秒、かつ左から右に順番に、というよりランダムに目線を合わせていくことで、自然な目線合わせができます。2つ目に、『声』です。モノトーンではなく抑揚をつけることで、聴き手にメッセージが伝わりやすくなります。特に大切なポイントで変化をつけることで、わかりやすさが増します。声のトーン、スピード、大小と、バラエティをつけてみてください。3つ目は『間』です。キーワードだと感じる前後どちらかで、間を持たせるのです。なぜなら……聴き手の注意をひきつけることが、できるからです。まさにこういうことです。それまで話していたのに急に静かになると、『なんだなんだ?』となるわけです。逆に間をキーワードの後に入れれば、余韻を持たせることができます。そして4つ目は『ボディーランゲージ』です。コンテンツと整合性のとれたジェスチャーは聴き手の理解を深めるのに大きく役立ちます。逆に、『大きいプロジェクトで』と言いながらジェスチャーが小さいと、聴き手に大きさが伝わりにくくなってしまいます。多すぎるジェスチャーや早すぎるジェスチャーは、落ち着きのない印象を聴き手に持たせてしまう可能性がありますので、キーポイントなど、必要に応じて使うようにしましょう。5つ目は『顔』です。ジェスチャーに近いのですが、時折、プレゼンの中で聴き手に『わくわくしませんか?』と質問を投げかけるプレゼンターがいます。この質問自体はエンゲージメントを上げるのにとても役立つのですが、口では『わくわく』と言いながら、顔は『真顔』という方がいらっしゃいます。人は相手の表情から多くの情報を得ようとします。ですから、これもジェスチャーと同じく、整合性を合わせないことには、もったいないです!6つ目、最後のポイントは、『姿勢』です。どんな印象を聴き手に持ってもらいたいかにもよりますが、基本的には、聴き手に説得力を感じてもらうには、堂々と立つことをお勧めします。肩甲骨を寄せ、みぞおちを意識してください。手がもじもじしてしまう方も、慣れるまでは意識を別の場所、みぞおちに集中して手から離すことで、落ち着きを与えてくれます。基本的には、空気をしっかりと吸えるよう、手は組まないことをお勧めします。