Aの取り組みをすることで現状のBの取り組みより10%の売り上げ増加が見込めます。ですから、取り組みAを開始すべきです。』例えばこんな一文があったとします。10%増加の根拠は?というコンテンツの不足は勿論ありますが、『コミュニケーション単体の説得力』という意味ではどう聞こえましたか?『どうって、まぁ、可もなく不可もなくかな?』そう思いながら、『どういうこと?』とクエッションマークが頭に浮かんだ方、ようこそこの回にいらっしゃいました。もう一度、同じ文を繰り返します。私の『本気度』はどの程度あなたに伝わりますでしょうか。『Aの取り組みをすることで現状のBの取り組みより10%の売り上げ増加が見込めます。ですから、取り組みAを開始すべきです。』いかがでしたか?どのくらい、私のこの売り上げ増加に対しての熱や、かける思いが伝わりましたか?では、もう一度、同じ文を繰り返します。『Aの取り組みをすることで現状のBの取り組みより“10%の売り上げ増加”が見込めます。ですから、“取り組みA”を“開始すべき”です。』先と比べて、私の『本気度』はどうでしょうか?『熱意があった』と仰っていただける方、ありがとうございます。具体的にどこに熱意を感じられましたか?『メッセージの伝わり易さが上がった』と思っていただけた方、ありがとうございます。何がどう変わったことで伝わり易さが増したのでしょうか?変化が起きたことで、メッセージの訴求性にはどのような違いが出ましたでしょうか?コンテンツは一語一句たりとも変わりません。ところが、訴求性が少しでも上がった、と感じていただけたなら、これを使わないのはもったいなくありませんか?是非、ご自身の気付きを書き留めてください。変化ポイントの受け取り方は人それぞれです。確実なのは、なにが正解不正解ではなく、今ご自身で気付いていただいた変化ポイントが、間違いなく、ご自身の感性に影響を与えた、ということです。これは揺るぎない事実です。ご自身のような感性を持たれる方にお話しになる際、この変化ポイントを意識してお話しすれば、訴求力を高める役に立ってくれます。コンテンツは勿論重要です。そして、その伝え方も、コンテンツと同じくらい、またはそれ以上に大切なのです。他にどんなポイントを意識すべきでしょうか?
完璧である必要はありませ。日本人は完璧主義の方が多い傾向にあります。ここで気付くべきは、ことプレゼンにおいて完璧なんて存在しない。ということです。各国大統領や企業CEOなど、名だたる有名スピーカーは多くいますが、果たして同じスタイルでしょうか?歩く方もいれば、中央にどっしりと構える方もいます。エネルギッシュタイプもいれば、落ち着きを中心としたタイプもいます。一つ共通して言えるのは、名だたるプレゼンターはみな、心から自分の意見を信じている、ということです。使命感を持っていたり、没頭していたり、その根幹理由は異なっていても、心からの思いは、口から出る言葉に熱を帯びさせます。そしてその目に見えない熱が、人を揺さぶるのです。ただ熱く語るのではありません。テクニックに溺れるのでもありません。聴き手の感想が『プレゼンが上手な人だったね』ではなく、『メッセージが心に響いた!』『行動しなきゃ!』にするためには、まずは信じるという心構えが大切なのです。人によっては、企業に代わってメッセージを読み上げなければならない方もいらっしゃると思います。データの発表のみの方もいらっしゃることでしょう。そんなときも、誰に、何のために、どんな持ち帰り聴き手にしていただきたくてプレゼンをしようとしているのか、それをご自身の中で固めてください。そこからようやく、信じるメッセージをどう伝えるか、そのテクニックやコンテンツ作成に入ることができます。我々の話を100%持ち帰ることができる聴き手なんてそうそういません。ですから、ポイントは少なければ少ないほど良いものです。特に短い時間の中であれもこれもと欲を出せば、聴き手の頭は混乱します。聴き手のために、できるだけポイントを絞りましょう。このエピソードでも、そうしたいと思います。ポイントはまだまだたくさんありますが、大切なのは、資料に時間をつぎ込むのではなく、心構えをしっかりもち、ポイントとなるメッセージを間、抑揚、トーンの強弱、スピードからジェスチャー、いろいろな要素を使い、聴き手に届ける、ということなのです。