デールカーネギーはこのように言っています『人を動かす秘訣はこの世にただ一つしかない。自ら動きたくなる気持ちを起こさせることだ』
もちろん、たとえその方が望まなくても、命令などして無理やり動かすことならできます。ただし、そこに『質』や『長期に渡る関係性』は伴いません。人が動くには、まずその人物が何らかの要素に対し魅力を感じている必要があります。そして、それを得る、もしくは叶えるために、行動に移します。この人の根幹ともいえる流れは、時代やテクノロジーがどれほど進歩したとしても不変であると思います。セールスに置き換えても、同じことが言えるのではないでしょうか。ですから『質の方が値段より大切である』と考えているのに、安さにつられて購入してしまった場合、価格以上の質を提供している場合を除き、満足度は低い場合が多いです。さらに、売り手としても、質や価格のコントロールは簡単に出来るものではありませんし、下手に価格を下げすぎて原価割れになどなってしまえば、それこそ目も当てられません。では、顧客が気にする要素とはどのようなものしょうか。大きく分けると、人は2つの要素に分かれて購入の決断をします。信用と信頼です。信用は、実績によって構成されます。例えば、商品やサービスの品質や誠実性などが、過去の良い経験や口コミ、ブランドの評判として実績になり、『信用』が積み重なります。なんの実績を重要視するかは顧客それぞれですが、正確かつ明確な情報提供が信頼感を生みます。これに対し信用は、主観的な評価です。通常信用の上に成り立つ信頼ですが、時に、たとえ実績がなくても、信じてみたいな、と思わせる要素が我々を相手に対し信頼させます。顧客とのコミュニケーションは信頼の構築に不可欠であり、信用無しで信頼を作り上げられるのは、AIにはない生身同士のコミュニケーションが持つ特権です。今回お話ししたいのは、このAIにできない魅力、人間的魅力なのです。具体的にはどのようなものでしょうか。
どんな方に人間的魅力を感じますでしょうか。この方と話をした後、聴いた後は心がワクワクしている。ポジティブな気分になる。そういった感情の高まりを与えてくれる人物は、我々の記憶に残ります。そんな影響力を持つ人物に対し、我々は『もっと話を聞いてみたいな。』といった、『機会を設けてみたい』という気持ちを抱きます。魅力の一つに、高い知識があります。知識自体はどちらかというと実績、つまり信用より要素なのですが、高い知識によって聴き手が感じるのは、安心です。頼れそうだな、文字通り信頼になります。セールスとして絶対的に欠かすことが出来ないのは、まず当然、商品知識です。そこからは、その方自身の魅力です。あらためましてご質問です。どんな方に、魅力を感じますでしょうか。答えは似通っていたとしても、十人十色です。性格の明るさに魅力を感じられる方もいれば、どちらかというと明るいより落ち着きのあるかたの方が好ましい、とおっしゃる方もいらっしゃいます。だからこそ、色々なセールスがいて、正しいのです。憧れのあの方みたいな要素は自分にない、だからこそ自分には才能がないのか。それとこれとは、別物です。ご自身がもたれる要素に共感が出来、ご自身だからこそ理解してあげられる顧客がいらっしゃるのです。だからこそ、まず、ご自身を受け入れることから始めていただきたいのです。ご自身は、どんな価値観を持たれる人物なのでしょうか。その思いは、どんな経緯で作られたのでしょうか。そしてその思いをどのように、仕事を通して活かされましたでしょうか。改めて、ご自身の魅力に立ち返られてみてください。そこから、ご自身がどんな最高な付加価値を顧客にお渡しできるのかを、探し出してください。セールスとしてのご自身の存在意義をしっかりと感じていただければ、絶対に、いまより更にセールスの遣り甲斐が感じられます。